漫画「弱虫ペダル」★感想 

弱虫ペダル?どこが弱虫だ!!
これはチート性能持ちの主人公が周りの選手たちを蹴散らす、才能が努力を蹂躙する物語である!

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

というわけであらすじ。

ママチャリで往復90㌔の道のりを往復する、「スーパー健康派オタク」の小野田坂道はひょんなことから自転車に出会い、総北自転車部に入り練習を開始する。
そこで自分の生まれ持った才能に気付き、一年生にしてインターハイに出場、総合優勝を手にするのであった・・・

コミックス約20巻分を主人公視点のみでさらっとまとめたが、こんなもんである。
自転車競技数カ月の主人公が、幼い頃から自転車に乗り続けている周りの選手たちを追い抜いていく。
別に漫画なのだから現実的な視点で見る必要はないのだろうが、いくらなんでもやりすぎである。
主人公なのだから当然努力にしろ才能にしろ、周りの選手たちと戦っていく力は必要だと思うし、そこに対しての文句はない。
自分が残念だったのはインターハイの総合優勝を彼に渡してしまったことだ。漫画はインターハイ編が終わっても続いていくのだからここは一度彼に挫折というものを味あわせて欲しかった。
一年目にして総合優勝を果たしてしまって、小野田はこの先どうしていくのか。
主人公の魅力付けをもっとしっかりやってもらいたいと思った。

文句を言ったがそれは主人公に対するもので、作品自体は面白い。
魅力の無い主人公と違って、総北自転車部の面々、対戦校の選手たちは濃ゆい奴らが集まっている。何人か挙げていこうと思う。

弱虫ペダル 2 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 2 (少年チャンピオン・コミックス)

まず主人公と同じ総北一年、今泉俊輔。
小野田に自転車を始めるきっかけを与えた重要な登場人物だが、彼はなんといっても精神(メンタル)が脆い!昔から自転車のレースに出たりしていた彼だが、ある時、御堂筋翔という同い年にして異端の自転車乗りに出会う。
彼の精神攻撃に屈し、レースに敗北してから「打倒御堂筋」を近い、コツコツと自分を鍛え上げた彼だったが、インターハイにて彼に再開。鍛え上げた自転車技術を武器に戦うが、結局度重なる精神攻撃によりまたしても心を折られてしまう。
インターハイ二日目では、彼に眼中に無いというような態度を取られ、レース中にもかかわらず、涙を流しヘルメットを地面に叩きつけリタイアしようとする。その後は仲間に支えられ精神的に少しは強くなったようだが……
御堂筋からは侮蔑の意味を込めて「弱泉くん」と呼ばれている。

弱虫ペダル 18 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 18 (少年チャンピオン・コミックス)

総北のライバルであり、インターハイの王者、箱根学園。
その主将にして「最強の男」福富寿一。
自転車に対してあまりにストイックな姿勢で挑む寡黙な男。自分は強者であるという絶対的な自負を持ち、他を蹴散らして自分が一番にゴールするという意思を決して崩さない。
しかし主人公たちが入部する1年前のインターハイ二日目では、総北主将金城に抜かされたためにその自負が崩され、つい先行する金城の服をつかみ落車させてしまうという大失態を犯した。(箱根学園はメンバー全員がエース級なので、福富抜きで総合優勝を取ったが、金城は総北の唯一のエースであったため成績を残せなかった。)
そのことを深く反省した彼は総北に訪れて頭を下げ、金城に「勝ちを譲れと言われれば断れない、それだけのことをした。しかし、もし、今度あの状況になったら、正々堂々と勝負してくれるか?」と自分の願いを告げる。金城もそれを快諾。
くしくも去年と同じ二日目でゴールを争うことになった福富と金城。正々堂々の末、勝利を勝ち取ったのは福富だった。
レース終了後、福富は涙を流しながら「やっと心から笑える」と金城に話す。彼のインターハイ二日目は、1年という間を開けてやっと終わったのだった。

このように、サブキャラ達はみな人間臭い魅力を持った男たちがたくさん登場するのだ。
レースをしている以上、必ず勝者敗者が生まれる。そしてそれ以上に多くのドラマが生まれているのだ。
弱虫ペダル」ではそれがしっかり描けていて、ホントに熱い漫画となっている。

そしてさっき名前の出てきた、御堂筋翔……
私が作品中で一番好きなキャラクターであり、濃いキャラクターたちの中でもかなり異色のキャラクターとなっている彼についても語りたいと思う。<続く>