新堂冬樹「君が悪い」☆感想

吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)

吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)

とってもストレートな題名のこの小説。内容もこの一言を軸に繰り広げられる残酷サスペンス★

主人公である中学教諭竹林はとにかく何でもかんでも人のせいにする性質の男。この男が次々と人様を手に掛けていく話なんですが……
はずみで最初の殺人を犯した時も、「こいつが悪い」。
次の殺人も「君が悪い」。
そのまた次も「お前が悪い」……

とにかく全部「君が悪い」!!!

君が悪い (光文社文庫)

君が悪い (光文社文庫)

とにかくそれだけで進行していく。竹林が殺して、相手のせいにするためにいろいろ理屈を並べて、都合が悪くなってまた殺して……それのループ。延々とそれなので緊張感もない。
ライトな感じで新しい読者を引き付けようとしているのか?と感じられる部分もあるが、そのくせ死体を解体する描写とかはしっかり描かれているので苦手な人はそれだけでアウトだ。
それに主人公の性質が、僕の中での新堂冬樹・ザ・べストである『吐きたいほど愛してる』の中の一編、「半蔵の黒子」の主人公、毒島半蔵と似通っているがキャラクターの持つパワー、魅力の面で竹林は半蔵の足元にも及ばない。
というわけで、これを読むくらいなら『吐きたいほど愛してる』を読もう。