国広正人「穴らしきものに入る」☆感想

日本ホラー小説大賞の短編賞を受賞した本作。
表紙からもわかるとおり、本格ホラーではなくナンセンスお馬鹿ホラー短編集である。

穴らしきものに入る (角川ホラー文庫)

穴らしきものに入る (角川ホラー文庫)

表題作の「穴らしいものに入る」は、自分の体は穴をくぐれるということに気付いた主人公がさまざまな穴に挑戦していくというお話だ。すごい下手なあらすじに見えるかもしれないが、ホントにそうなのでそこに対する突っ込みは作者にどうぞ。
とても軽い読み口で、何も考えずに気軽に読める。

読み終わって頭に浮かんだのは「世にも奇妙な物語」だった。そのうちホントに「世にも奇妙な物語」で映像化されるかもしれない。しかし「世にも奇妙な物語」のストーリージャンル分けでは明らかにホラーには入らないと思われる。
日本ホラー小説大賞なのにこれは・・・いかがなものか?
その他の短編もどれも同じような奇妙な話で、「これは怖い・・・」と感じる短編が一編もなかった。残念である。
自分は表題作よりも死んだ祖父を火葬したら骨が全部だった・・・どうしようという、「金骨」のほうが好きだった。

・・・ホラーってなんだっけ。そんなことが頭をよぎる短編集だった。